オクターブの共鳴音

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zoom RSS 巨匠 デ・キリコ展 異次元の森へ迷い込む時

<<   作成日時 : 2005/10/15 16:54   >>

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画像巨匠 デ・キリコ展
2005年10月6日(木)〜25日(火)
大丸ミュージアム東京(大丸東京店12階)

    1974年「不安を与えるミューズたち」  →

ダリ、タンギー、マグリッド等のシュールレアリストたちに大きな影響を与えたデ・キリコ。
美術の歴史に残る著名な芸術家のなかで、形而上絵画ーメタフィジカーの旗手、ジョルジョ・デ・キリコほどわれわれを悩ます物はいない。というのは、多くの人が指摘するように、この偉大な魔術師がもっている表と裏の二面をどのように解釈したらよいか、という問題があるからである。
同展覧会販売の図録集より

これを読んで、ほっとしました(笑)
昔よりは、抽象絵画も楽しめるようになったし、哲学も若干かじるようになっていたし・・・・・
もう少しわかるかな?と、思っていたら、説明文を読まないと殆ど理解できないといいますか(苦笑)

主題
形而上絵画における時間は三つに区分できる。すなわち、1)永遠回帰ー円環の時間、2)無限の時間ー迷宮、3)永遠ー時間の外あるいはアレフである。形而上絵画的な時間とは主体の時間、すなわち我の時間である。換言すれば、時間軸に沿った個=我の原理である。そしてこれは、フリードリッヒ・ニーチェに啓発されたデ・キリコの文化的体型においては、旅のメタファー(隠喩)として認識される。
同展覧会販売の図録集より

え〜、ここらあたりで、もう全くわからなくなっている方々も多いのでは^^;?
ニーチェは私も読んでいないので、キリコがどういう部分に啓発されたかがわかっていないのが
悔しいところなんですけど、哲学的抽象思考が若干はできるようになっていたので、「頭の中で
イメージする」ということはできるようになっていた私ですが、それを「絵」として表現するとなると
もう全くお手上げ状態といいますか、わかりずらいです本当に(笑)

で、そんなことは考えずに純粋に「絵」として眺めたときに、これは?と、思ったものをあげてみます。

「ヘクトルとアンドロマケ」
画像


この顔のないマネキン人形はキリコのメタフィジカの作品によく登場するのですが、当時パリにいた
弟のサヴィニオの詩作の中からイメージを借りたものだそう。
なぜかこのマネキン人形には、親しみを感じてしまいます。
人生全ての時期において『イリアス』に登場するこの不幸な夫妻を主題とした数多くのヴァージョン
を製作しているようで、今回の展覧会にも数点展示されていました。
私は、このシリーズに一番興味をひかれました。


画像「ヘクトルとアンドロマケ」
1973年 ブロンズに銀鍍金 高さ95cm
同じ主題のものですが、大きなサイズがブロンズに施した銀鍍金の輝きとともに、彫刻にほとんど戦闘的な外観を与えていて、二人の人物のテーマのもつ沈鬱な悲しみを薄れさせ、ほとんど消し去ってしまっています。
この彫刻の小さいレプリカがもし売っていれば、購入したいなぁと思っていたのですが、お土産コーナーに行ったときに、レプリカものは全く置いていないのがわかり、がっかり。


この他にも、彫刻が何点か出展されているのですが、むしろ平面である絵画より立体である「彫刻」
のほうに完成度の高さを感じました。

画像「大きな吟遊詩人」
1970年 ブロンズに銀鍍金 高さ34.5cm
吟遊詩人もキリコが何度も取り上げている主題の一つなのですが、
右上記写真の絵画「不安を与えるミューズたち」「ヘクトルとアンドロマケ」とともに、ギリシャ神話と関連しているという点が共通しています。
このブロンズ像もほしいなぁ、と思ったのですが(笑)やはり全くおいていなかったですし、ポストカードでさえなかったのが非常に残念でした。


そしてギリシャ神話つながりでもう一つ。


「夏の夢/アリアドネとイタリア広場」 1970年頃
画像


このblogで何度も取り上げているバッカスの妻になるアリアドネです。
アリアドネはニーチェのディオニュソス的な文化の起源でもあるそう。性の地上的力、すなわち繁殖力の具現化であり、放浪者を迷宮から救うことができるのが彼女なのだそうです。
そしてここにも描かれている汽車や駅の光景もキリコの作品によく登場するのですが、キリコの父が鉄道員であったことと無縁ではないようです。水平線に煙を吐く汽車が走り、空虚な空間の中で、形而上的な記号となっていたりもするそう。キリコの空間恐怖と郷愁は、彼の空間構成の中でいつも一つになっているともいえるそうです。

生涯を通じて作風が変わるということは、よくあるのですがこのキリコも元々デッサンや絵具の使用等のアカデミックな修業を経ていないためもあり、初期・中期・後期でかなり変わっています。
今回の展覧会は、50年の生涯を通した作品群の初出品を含む110余点で構成されており、キリコという画家を知る絶好の機会になると思われます。

巨匠 デ・キリコ展」 ←大丸ミュージアム公式サイトです。

難解である、ということもあったのですが(笑)何度もぐるぐる回って見直してしまいました。
途中で図録の説明をみたりしながら、かなり長い時間を費やすことができる展覧会でした。
興味のある方は、是非、足をお運びくださいませ。
※哲学がお好きな方も是非!(笑)
 「ニーチェ・セレクション

おまけ:怪獣・ヒーローものの造形デザインで有名な故成田亨氏(彫刻家)が
     「ウルトラマン」を考えている時
     「キリコの卵型の顔のように、単純化したデザインにしたいと思った」
     という説があるようです。




ニーチェ・セレクション (平凡社ライブラリー)

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
TBしちゃいました。
デ・キリコ〜ウルトラマンて面白過ぎ(笑
BustaCat
2005/10/19 02:11
BustaCatさん、TB&コメントありがとうございます〜!(笑
成田亨さんって、たしか武蔵野美術学校出の彫刻家なので、
基礎がちゃんとある方なんですよね。でも、キリコーウルトラマンは、私も笑いました。凄すぎ!(笑
オクターブの共鳴音
2005/10/19 08:45
ダリにマグリットが影響受けてるのは良くわかりますね。
「夏の夢〜」なんか溶けた時計を書き足せばダリですよ(笑)

キリコーウルトラマン>
ウルトラマンの顔って昔から凄いアートだよなぁ〜と
思ってましたが、こんなところに答えがあったとは。。。
ジャックスケリントン
2005/10/20 00:41
ジャックスケリントンさん、こんにちは。
お!ジャックさんも美術はお好きですか?音楽好きな人は、美術も好きな人が多いですけど^^。
ウルトラマンの件は、私も正直驚きました。上にも書きましたけれど、成田亨さんが美術学校出で基礎をきちんと習得している方なので、造形がすばらしいのでしょうね。
オクターブの共鳴音
2005/10/20 01:13
はじめまして。
少々遅くなりましたが、トラックバックさせていただきました。
また私のブログにコメントをいただきありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
どんちゃん
2005/10/24 22:27
あ!TB&コメントもいただいて、ありがとうございます。
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたします^^。
オクターブの共鳴音
2005/10/24 23:18

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